重度から中等度におすすめの基本課題で肩や腕や手を動かしてみよう
重度〜中等度の時期は、肩の安定化と前腕・手の基礎機能を底上げするのが要点です。テーブル上でのワイピングやスライドは、麻痺側への荷重意識を高めながら肩の挙上や水平内外転を安全に誘導できます。握り離しはスポンジボールなど柔らかい物体で開始し、手掌の屈曲・伸展を反復して筋緊張を整えます。前腕回旋(回外・回内)はラップ芯やタオルを軽く握って小振りに実施し、肘90度での安定化を意識しましょう。これらはベッド端坐位や椅子座位で行うと姿勢が保ちやすく、転倒リスクを抑えられます。回数は10回×2〜3セットを目安に、痛みゼロ〜違和感軽度で止めることがコツです。段階的負荷で「できた」を積み重ね、日常の動きに橋渡しします。
ポイント
- ワイピングとスライドで肩と肩甲帯の滑走性を引き出す
- 握り離しで手掌のオン・オフを整え把持の質を高める
- 前腕回旋で物を持つ姿勢と食事・整容動作に備える
痙縮が強い時の前準備!ストレッチと関節可動域訓練で安心スタート
痙縮が強い日は、いきなり反復運動に入るより、短いストレッチと関節可動域訓練で「動ける土台」を作ると安全です。肩は挙上と外旋、肘は伸展、手関節は背屈、手指は伸展を中心に、各関節へゆっくり圧をかけて20〜30秒維持します。呼吸を合わせて吐く時にわずかに可動域を広げると、抵抗感が和らぎます。痛みが出る角度まで攻めず、「心地よい伸び」で止めることが大切です。滑走を助けるため、タオル上での低摩擦スライドや前腕の軽い回外・回内の摇らぎを入れると筋の過緊張が下がりやすくなります。準備が整ったら、ワイピングや握り離しに移行し、短時間で学習サイクルを回しましょう。無理をしないことで、翌日の張りや痛みを防げます。
軽度向けの巧緻性アップ!指の課題で日常生活をもっとラクに
軽度では、指先の分離運動と正確な把持が生活の質を大きく左右します。つまみ動作は親指と人差し指のピンチから始め、コイン移動、紙つまみ、洗濯ばさみの着脱などで抵抗と精度を段階的に上げます。小物操作はペン回しの準備として短い鉛筆の転がし、ボタン掛けボードやファスナー練習で衣服操作に直結させます。物体マニピュレーションはラップ芯や中空ボトルを使い、回す・倒す・立て直すを連続で行うと、前腕回旋と手関節背屈の協調が磨かれます。机上での課題は姿勢が崩れにくく反復しやすいのが利点です。スピードよりも正確性を優先し、ミスが増えたら一段階やさしい課題に戻って成功体験を確保しましょう。短時間×高頻度での練習が効果的です。
| 課題カテゴリ |
具体例 |
ねらい |
| つまみ動作 |
コイン移し、紙つまみ |
指先の分離とピンチ力の安定 |
| 小物操作 |
洗濯ばさみ、ボタン・ファスナー |
日常動作への汎化と巧緻性 |
| マニピュレーション |
ラップ芯で回す・立て直す |
前腕回旋と手関節制御 |
短い成功サイクルを何度も回すことで、実生活の作業スピードも自然に上がります。
非麻痺側の使い過ぎを防ぐ集中練習のコツと工夫
非麻痺側ばかりで代償すると、麻痺側が「休み癖」になりやすいです。片手課題を主役に据えた短時間集中がコツで、1セットは2〜3分、休息は同等以上に設定し、合計10〜15分を上限にします。タイマーを使って練習と休憩を明確に区切ると、集中が保てます。握り離しやワイピングでは、非麻痺側は最小限のガイドにとどめ、必要な時だけ手首や肘を支えます。課題は「成功率70〜80%」の難易度を選ぶと学習が進みやすく、失敗続きによる萎縮を避けられます。週を追って抵抗や回数を小幅に増やし、動画で手の動きや姿勢を見える化すると修正が速くなります。練習記録をつけ、できた項目を可視化すると、継続のモチベーションが保てます。
- 2〜3分集中→2〜3分休息を1サイクルとして3〜5回
- 非麻痺側は支えるだけで主動は麻痺側が担う
- 成功率70〜80%の課題を選び少しずつ難易度調整
短く濃い反復が脳の再学習を促し、片麻痺リハビリプログラムの効果を底上げします。